忙中閑

ミリに到着の前、北ボルネオのアピ(現コタキナバル)と、ブルネイ湾口のラブアン島に仮泊したことがあった。

アピに上陸。軍の酒保でジャワコーヒーを試飲。おつまみは茹でた落花生だった。

ここで、現地人そっくりの色黒の日本のオバチャンに出会った。外見からとても日本人には見えないので訝ったところ。立派な日本語で受け答えしたのでヤマトナデシコと確認された。

一体彼女はどんな境遇で南国で生活しているのか聞きたかったが、残念ながらその暇がなかった。

ラブアン島にも好奇心から船の伝馬船で磯辺に上陸してみた。海水はきれいで、アワビそっくりの小さな貝が無数にあった。 少し陸地に入ったら大きな動物の足跡があたので危険を感じ、引き返した。

かくして十月半ば目的地のミリに到着した。油の積み込みは沖合に投錨、送油管で行った。

船員や乗船警戒隊の海兵たちは適宜上陸。軍の酒保で疲れを癒したのであった。

私はここで上陸しなかったので、町の様子は不詳。また、近くのブルネイに連合艦隊の基地があったことも全然知らなかった。

©2002 Kaneo Kikuchi

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