再会

親友・山田禾黄氏

あるとき台湾の高雄に入港して映画を観ていたら、薄暗い館内で見覚えのある顔のシルエットが浮かんだ。幕間の照明で確認したらクラスメートの「山田氏」であった。

お互いに奇遇を喜び、二人とも下戸の口なのでバナナを食べながら歓談した。翌日は、彼を恵昭丸に招き久木原局長と一緒に高雄神社に参拝したようである。後段は彼の抜群の記憶による。

お互いに所属会社は別でも、戦時下の過酷な輸送船の生き残りなので戦後も交流が続いていたが、昨年(平成十二年)逝去した。

かけがえのない親友を失った悲しみは一入で、ご冥福を念ずるばかりである。

©2002 Kaneo Kikuchi

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