海運の先進国である英国では商船をマーチャント・ネービー、海軍をロイヤル・ネービーと称し、毎年暮に出される女王陛下のクリスマス・メッセージには必ず、陸海軍と併記して「マーチャント・ネービー」への謝辞がある。
また、先の英国とアルゼンチン間のフォークランド紛争では英国海軍から英国船主協会に対し「マーチャント・ネービー」への感謝額が贈呈されている。
戦没船員記念碑は、テームズ河畔、ロンドン塔背後のタワーヒルにあり、墓碑銘には
第一次大戦
神の栄光と
海のほか墓を持たない
一万二千柱の商船隊及び
漁船団の有志の
栄光のために
第二次大戦
二万四千柱の商船隊および
漁船団の有志よ
謹んでその御名を
この庭園の壁に刻む
御身らは祖国のため
命を捧げた
海のほかにその墓を持たず
と刻まれている。
庭園を囲む円形の壁の内面には、青銅の化粧版がはめられ、戦没船員の氏名が浮き彫りされ、そのまわりには七つの海をあらわした七個の石の彫像が一定間隔に並立し、芝生の中央には北を指した船舶用羅針盤が設置されている。
因みに、他の国の戦没船員記念碑は、フランスはマルセイユ、 ドイツはラボー、オランダはロッテルダム、イタリアはゼノアにある。
(補足:この記念碑の写真が 海難研究家 福島弘氏の記事に掲載されている。WikipediaにTower Hill Memorialの解説ページがある。)
また、日本では横須賀市の観音崎に「戦没船員の碑」が設立され、毎年五月に追悼式が行われている。詳細は次のサイト参照。http://www.kenshoukai.jp/
引用文献 浅井栄資著 慟哭の海
©2008 Kaneo Kikuchi