秘史その五

ソ連参戦当時の北鮮羅津らしん方面情勢

平成十六年八月 大同海運OB 菊池 金雄

 ○ はじめに

小著「硝煙の海」のなかで、ソ連が参戦した当時、羅津港に在迫中の向日丸(むかひまる)等多数の大型輸送船団が、突如ソ連機大編隊の空襲に遭い、相次いで爆沈されるという惨状を述してあるが、当時の陸上。特に「羅津周辺警備軍、並びに一般市民の動向」については公刊戦史叢書にも記録は見当たらなかった。しかるところ最近、「大東亜戦史8 朝鮮編」があることを知り早速閲覧の結果。所在部隊が内密に、早々に後方に転進。一般市民を置き去りにするとうの軍の無責任、身勝手な行動などが赤裸々に記録されていた。

このような軍の対応から、当然在港輸送船団の防護も散発的で、むしろ、これら各輸送船に警乗の警戒隊(海軍)、船砲隊(陸軍)が勇戦した事実は、小著でも触れているところである。

そこで、輸送船側では関知できなかった側面をこの記録から引用し、当時の北朝鮮北東岸諸港の状況や、周辺居留民の悲惨な真相を追ってみることする。

 

©2004 Kaneo Kikuchi

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