○ 根こそぎ動員

この非常事態に鑑み、羅南師管区らなんしかんく兵事部は、根こそぎ在郷軍人等に召集令状を発し、十日に部隊を編成。次のように警備分担を命じた。

会寧かいねい召集部隊=慶興  羅津召集部隊=羅津海岸  清津召集部隊=清津湾

しかし、そのころは慶興も羅津も本隊は、退却しはじめていたのであった。

この部隊の後を追う避難民にも、召集令状がばらまかれた。赤紙を手にした男たちは、妻子の受難を案じながら、断腸の思いで召集に応じたのであった。

清津の北道庁の職員は課長以下、高等官十数名が召集をうけたため、行政機能が停止寸前となり、道庁から参謀長に抗議し、辛うじて召集が取り消された一幕もあった。

今回召集者の六割は朝鮮人で、未教練の二十才以下の者もおり、銃の操作もできない始末だった。

これでは対戦できず、第三十四軍からの支援を講じなければならなかった。

 

©2004 Kaneo Kikuchi

表紙 目次 前頁 03-43 次頁