秘史その七

谷口軍曹の帰還日記要約

○ はじめに

この日記は、満州第一方面軍(吉林省延吉)から、昭和二十年八月二日大本営陸軍部に六名が転属になり、北鮮の羅津から船便を利用の目的で投宿中、ソ連軍の参戦に遭遇。止むを得ず陸路南鮮方向に避難中の様々な体験を、同行の一人である谷口軍曹が克明に帰還日記として著したものの要約です。

編著者の私見を述べることは心苦しい次第ですが、当時、私の乗船「向日丸」(むかひまる)は、たまたま羅津港に在泊中で、突如ソ連機の空爆に晒された苦い体験もあって本帰還日誌を精読し、船側では関知できなかった羅津周辺の惨状や市民等の苦難な避難実態を把握することができましたので、今日まで空白であった北鮮方面の戦記のひとつとして、原著者谷口氏のご好意を得て発表させていただく次第です。

なお本日誌の小見出しは月日だけですが、他の小見出しは編著者が追加させていただいたものであることをご了承願います。
                                   
                 平成十八年十二月   要約編著者 菊池 金雄

 

©2006 Kaneo Kikuchi

表紙 目次 前頁 03-75 次頁